空の青さは微笑みにも似て。

皆さんこんばんは。
コンビニ等でお釣をもらう時に手が触れると「この人、オイラに気があるんじゃないか」と思ってしまう、Perfumeを応援する市民の会新潟支部長のシンジです。
以前に「また次回」と言ったままほったらかしにしてた事について書きたいと思います。
不肖シンジ、自らの音楽変遷史の最終章「失意、絶望、そしてPerfumeという名の光」です。





大学時代に出合い、その後傾倒した写真の技術をより確かなものにする為に京都での学生生活を終えた私は2000年春、専門学校へ入学する為念願の東京移住を果たしました。これまでの人生であれ程光り輝いた時期は他に無いと今でも思う位、東京での生活は素晴らしいものでした。2ヶ月間だけ、当時麹町にあった日本テレビで機材搬入のアルバイトした事がありましたが、そこで見たタレントの方々や現場の雰囲気。田舎では決して垣間見る事の無い、東京ならではの光景に興奮を隠せなかった事もいい思い出です。
写真とは直接関係ありませんが、件の機材搬入の会社に「卒業後はウチに来れば」というお誘いもあり、以降の生活の展望に想いを馳せていた矢先にまさかの青天の霹靂が訪れます。それは実家からの、突然の帰還命令。詳細は割愛しますが、実家の寺に勤めていた私の叔父が離れるに至り、私が呼び戻される事となったのです。
5〜6 年という期限を設定してはいましたが、学校に通い、その後も念願だった東京に居続けたいと願う自分にとって、僅か2年で新潟に戻るなど到底承諾出来るものではありません。しかし、一人が抜けただけで運営に支障をきたす実家の状況にあっては選択の余地は初めから無く、絶望の中東京を離れる事を余儀無くされました。
2002年3月、一人黙々と引越しの荷造りを行う手がふと止まった瞬間、涙が溢れ、嗚咽が口から漏れました。
こうして写真の夢が潰えてしまい、大きな目標を失った私に転機が訪れます。
新潟に戻ってから半年目、中学時代の同期だった女性と再会し、そこから交際の運びとなったのです。かつて同じクラブ活動をし、当時から恋慕の想いを抱いていた私にとりましては願ってもない展開。当時27歳、どちらから言い出すでも無く「結婚」という言葉が出るようになり、相手の実家にも挨拶を済ませました。
「写真を仕事にする」という夢は失った。しかし、その代わりに大切にすべきものが出来た・・・・。「こんな場所は俺のいるべき処では無い」とふて腐れ、希望の欠片すら見出せなかった地元を許容する決心が芽生えた瞬間でした。
しかし、その喜びもある日突然終わりを告げます。相手の母親からの反対。理由は「寺に嫁がせたくない」その狂信的なまでの干渉は彼女にも向けられ、結局その過干渉に抗する事の出来ないまま、瞬く間に二人の関係に亀裂が生じました。
1 年以内に「夢」と「結婚」を失う・・・それを境に自分の中のあらゆる感覚が変わりました。それは音楽の好みも然り。一種の「迷走」です。それまでのブレイクビーツ等から80'sや邦楽という、今迄全く食指が動かなかったものも聴き始めます。まぁ殆んどがバラードや恋愛ものという、これまで「んなシミったれたもん聴けるかぁ!」と拒絶していたものを聴きだす有様。
以下、聴いてはメソメソしていた曲を幾つか紹介します。


Flying Picketsの「Only you」。
映画ファンには香港映画『天使の涙』のエンディング曲としても有名ですね。



シンディ・ローパーの「Time after time」。
Tuck & Pattiのカバーヴァージョンが好きですが、見つからなかったのでオリジナルを。
Youtubeでオリジナルは削除されてました。





コールドプレイの「Clocks」





エルヴィス・コステロの「She」
映画『ノッティングヒルの恋人』の主題歌でした。
たまにカラオケで歌ったりします(←本当)。





ここから邦楽編です。
まずは大沢誉志幸「そして僕は途方に暮れる」今更説明不要の名曲ですね。
ことごとく削除されていたのでライヴヴァージョンを。






山下達郎の「蒼氓(そうぼう)」
クレジットカードのCMでお馴染みですね。








宇多田ヒカルの「誰かの願いが叶うころ
敢えて題名は伏せますが、すんごいアジャパーな映画の主題歌でした。
これもカラオケレパートリーのひとつです。
今でもこれを歌うとすこーし胸が詰まりそうになります。




この頃はこうした類の音楽ばかりを聴き、毎日メソメソしていました。その暗中模索は実に3年に渡って続く事となります。
2006年11月末、休日を新潟市内中心部で何をするでも無く歩いていた私は、とある商業ビルに入りました。その中の「ヴィレッジバンガード」にて様々な雑貨を物色していた時、CDの試聴機が目に入ります。そしてその前には平積みになっているPerfumeの『Complete Best』初回限定版。ヘッドホンを付け、Playボタンを押した途端に耳に響いてくる重低音、スネア、ハイハット。ジャケットフォトから受ける印象、そして「女子高生」というタームから感じた当初の印象があっさりと覆されました。そのまま曲順が「コンピューターシティー」に差し掛かった時・・・・・!その衝撃が全ての始まりでした。まさに凡百のテクノやハウスなど足元にも及ばないグルーヴ感。「そう、これなんだ!自分はこういう音楽が聴きたかったんだ!!」同時にそれは過去を引き摺り、過去の奴隷に成り下がっていた自分自身からの決別表明だったのかもしれません。
↓この世界感に心打ち震えました。

Perfumeと出合ってから、自分でも驚く位の速さで身の回りの環境を次々と刷新していきました。まるで過去の空白を埋めるかの様に。ペシミスティックな音楽と袂を分かち、箱に入れてしまっておいたテクノのCDを引っ張り出し、DJ機器を購入し、更にはブログの開設、デザインTシャツの製作、その一つひとつに取り組む事によって多くのPerfumeファンの方達と知り合う機会を得ました。知らなかった感動に震え、知らなかったセカイを許容し、知らなかった人達と邂逅を果たした・・・・。
以前、CDの付帯特典として楽屋への訪問権が与えられるという企画がありましたが、もし私がPerfumeと会う事が出来たならば、何よりもまず「ありがとう」と声を大にして言いたいです。
「みなさんのおかげで、セカイが色めいて見えるようになった」と。







追記。
今では立派な「4つ打ち至上主義者」となりました。
これもPerfumeのお陰です。